オープンウォータースイミングに必要な知識と泳ぎ方・トレーニング方法

オープンウォータースイミングのトレーニング法を徹底解説

オープンウォータースイミング(OWS)には、プールでの泳ぎとは異なる特有の技術や知識が必要です。以下に、OWSに必要な知識と泳ぎ方についてまとめます。プールでの泳ぎに慣れている方も初めての方もオープンウォータースイミングは泳法が通常の泳ぎ方と異なります。海に出る前に、下記の泳法など基本の1~基本の9を必ず読んで確認して、マスターしておきましょう。

 

必要な知識

自然環境の理解

OWSは海、川、湖など自然環境で行われるため、水質、天候、潮汐などの影響を受けます。これらの自然条件に対応するための知識が必要です

安全対策

離岸流や波の影響を理解し、遊泳禁止のサインやガイドの指示に従うことが重要です。また、目立つ色のラッシュガードや水着、キャップを着用することで他の人から見つけやすくなります

呼吸法

一定の空気量を口から吸い、鼻から出す基本的な呼吸法を意識することが大切です

 

オープンウォータースイミングの泳ぎ方・トレーニング方法

[基本.1] 省エネ泳法をマスターしよう

キックはあまり打たず、上半身や腕中心のクロール。上半身、ストローク(腕の動き)は、大きく。キックは小さく、2ビート(腕の1ストロークに対しビート1回:対角線のタイミング)がよいでしょう。腕はリラックスしてストレートアーム(肘を伸ばして)で、肩から大きく動かすことが大事です。手首や腕だけで「水をかこう」とするのではなく、腕を前方に伸ばした側に体重をのせ、浮力と重心移動を使って水の上を滑るように進むのが理想です。

肩から大きく動かすようにクロールします。

[基本.2] 2種類の泳ぎをマスターしよう

海のコンディションは様々です。適合できる泳ぎとして、クロールと平泳ぎ、または背泳ぎをマスターしましょう。クロールで泳いで苦しくなったら、背泳ぎ(仰向け浮き)で少し休む方向を 確認するために平泳ぎに切り替えるなど慣れてきたらクロールと平泳ぎのコンビネーションの練習をしましょう。 クロールで数回かいて、その後平泳ぎを入れて前方確認をしよう。 

[基本.3] 鏡があれば陸上での練習をしよう

大きな鏡の前でイメージトレーニングをしましょう。フォームや手の使い方など細かい部分を、落ち着いて確認する事が出来ます。海で泳ぐ際に必ず役立ちます。

練習する時の注意する点

  1. 軸がぶれないよう体幹中心の泳ぎ
  2. 手の入水は遠くへ。大きな泳ぎのイメージ
  3. 大きな筋肉を使うイメージ。腕だけでなく背筋、広背筋も使うこと

[基本.4] 泳ぎの姿勢を身につけよう

長時間泳ぐには、正しい姿勢を身につけましょう。蹴伸びの状態で目線は真下、指先もまっすぐに、お腹はへこませます。目線が前方を向いていると、体がそって下半身が落ちるので水の抵抗と体力の消耗になります。蹴伸びの状態では、頭は両腕の間、目線は下、肩の力を抜く、足と腰は沈めない、水面と平行を保ちます。これがオープンウォータースイミングの泳ぎの基本姿勢になります。

目線は真下、指先もまっすぐ

[基本.5] まずはキャッチアップクロールを意識しよう

オープンウォータースイミングの練習では、大きく泳ぐ練習を心がけましょう。小さく泳ぐと、必然的に呼吸も浅く、体力も消耗しがちになります。泳ぎ方としては、肩甲骨から腕をまわす、つまり背中の筋肉も使う、体幹を上手に使った泳ぎ方です。手の入水は出来るだけ前に。前方へ腕を運ぶときにストレートアーム。キックは、もちろん2ビート(1ストローク、1ビート、対角線のタイミング)または、ただ流すようにして、あまり打たないようにを意識すると、大きな泳ぎにしやすいので意識して泳ぐようにしましょう。

[基本.6] 泳ぐ際の呼吸法

泳ぐ際の呼吸法は、水中では鼻からシッカリ出します。吸気は口から吐く量と吸う量は一緒でリズムを覚えましょう。歩きながら頭を沈めて、呼吸の練習をするのも良いでしょう。水の中で息を出したり、止めたりできると余裕が増すでしょう。

[基本.7] 泳ぎ方のサイクルと呼吸のタイミング

クロールで腕を5~6回掻いたら平泳ぎで前方確認しましょう。このとき呼吸を行います。しばらくはこのサイクルで泳いで慣れてきたらヘッドアップクロールに切り替えても良いでしょう。ヘッドアップクロールとは、通常のクロール合間に頭を前方に上げ、前をみる動作を入れたクロールです。慣れてきたらスピードを落とさずに行う練習もしましょう。方向確認後に、呼吸は横で行うやり方と、前方を見た時に同時に呼吸を行うやり方(後者の方が高度)などがあります。

[基本.8] 立ち泳ぎをマスターしておこう

足がつかない場所では立ち泳ぎをマスターする必要があります。立ち泳ぎにはいくつかの種類があります。自分が出来そうな立ち泳ぎをマスターして下さい。

ふみあし

水を踏み込む斜め下方顔は水上にあげたまま

立ち平泳ぎ

立ったまま平泳ぎを泳ぐ方法(左右交互に水を蹴る&踏む)

巻き足

左右の足、膝から下方をうまく使い円を描くように交互に水を巻き込む。(足首と膝の柔軟性が必要)

スカーリング

肘を水平に保って手を左右に掻くように動かす。足はクロールのキックでも可。膝を柔らかく立ちキック

[基本.9] コーナリングでの泳ぎ方

通常のオープンウォータースイミングは沖にブイが浮かんでおり、その折り返しはコーナリングの技術を要します。コーナリングでの泳ぎ方は、いくつかの泳ぎ方があります。

  • 平泳ぎで方向転換。進む方向を確認できたらクロール。
  • 片手クロール、ブイの少し手前から片手クロール、ブイの外側の腕だけを回し内側の腕は水の中をかくだけにして体の向きを変えていく。
  • 背泳ぎを入れてコーナリングするときに背泳ぎを使って鋭角に方向転換する。

 

海でのトレーニング法と意識する事について

いよいよ、海へ!!でも待って!その前に知っておきたい事があります。海で泳ぐ前に、しっかり確認しておきましょう。

① 準備体操・ストレッチ

  1. 伸脚
  2. 前後屈
  3. 腕の旋回:前後両手
  4. 肩回りのストレッチ
  5. 上腕のストレッチ
  6. 肩の付け根のストレッチ
  7. 肩甲骨のストレッチ
  8. 首のストレッチ

② 海に入る

  1. 風の向きを確認する(潮に流されないよう確認するため)
  2. 腰のあたりまで入水(ゆっくり体を慣れさせる水温や感触)
  3. そのまま顔をつける(視界や透明度を確認する)

③ 呼吸の確認

  1. 腰のあたりで頭まで潜る
  2. 水中で鼻から息出し、息を出し切ったら口から吸う(何回か繰り返す)
  3. 同様に息を止めて、出してみる(何回か繰り返す)
  4. 浮く。リラックスした状態で水に浮いてみる(うつ伏せあおむけ)

④ 水平線と平行に泳いでみる

  1. けのびを何回か繰り返す(海での浮力を確認。慣れてきたら掻く、キック)
  2. 平泳ぎ(呼吸のタイミングを図りましょう)
  3. 平泳ぎとクロールの組み合わせで泳いでみましょう
  4. 慣れてきたらクロール

 

海でのトレーニング中に注意する事

海での練習は、極力一人で行わない事。バディで練習しましょう。加えて経験の浅い方は、自分よりも泳力が上の人と組むのが良いでしょう。同じくらいの泳力の人ならば、並んで顔を合わせるタイミングや、ストロークを同じにして、ペースを合わせて練習してみましょう。リーダーは人数を把握したり、ペースを落として、ペースのゆっくりな人や経験の浅い人を中心に練習を組むことに予め注意してください。

 

ヘッドアップについて

オープンウォータースイミング(OWS)におけるヘッドアップの練習は、特にトライアスロンなどで重要な技術です。ヘッドアップとは、泳いでいる最中に頭を上げて前方を確認する技術で、ナビゲーションや安全確保のために必要です。ヘッドアップクロールの練習、海の状況に応じてヘッドアップ。コーナリングの練習は、足がつく場所で、まずは平泳ぎで練習しましょう。

 

足のつかない沖での練習について

海は浮力があるので立ち泳ぎしましょう。息継ぎの練習もしっかりと。疲れたら背負泳ぎで仰向けの姿勢で休む。大きいブイ小さいブイに掴まることができる大会と、失格になる大会があるので、特に注意が必要です。事前に確認する必要があります。掴まっても大会(多くの市民レース)では、ブイの下をつかんで休みます。部位を持つと不安定になりますが、足がつかなくてもまず落ち着いて泳ぎましょう。つい慌ててしまった場合でも平泳ぎでバランスを取り周りの状況をよく見ましょう。そしてまたクロールで泳ぎだします。疲れたら背浮きで、呼吸を整えます。また練習は絶対に無理をしないようにしましょう。

沖に出て重要なのが方向確認

平泳ぎ、ヘッドアップクロール、立ち泳ぎ、やりやすい方法で泳ぐことが重要です。 前方だけでなく、スタート地点や通過ブイの方向も確認しましょう。確実なのはしっかり止まって平泳ぎをすることです。 ジグザグ曲がるよりゆっくり、でもロスのないコースを選ぶことが大切です。岸に戻るときはあらかじめ決めた陸のランドマークを確認(山、ゴールゲート、建物)。沖は潮の流れが速くなったり、変わったりするので頻繁に方向確認をしましょう。 安全確認しながら戻ります。

救助のサイン

立ち泳ぎで片手で大きく手を振ります。 もう片方の手はスカリング。人が来るまで繰り返します。

 

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